ピアノを持っている、趣味で弾いている方も多いかと思います。そして、ピアノの音を普段から耳にしていると気になるのが、音の狂いではないでしょうか?せっかく上手に演奏ができていても、音が狂っていると残念な気持ちになります。
今回は音の狂いを直すために必要な、調律をテーマにお伝えしていきます。調律を最後にしたのはいつだったかわからない、やったことない、という方にはぜひ読んでほしい情報が詰め込まれています。
また調律を考えているけどいまいちどのようなことをするのかわからない方にも、わかりやすく調律について解説しています。ピアノ調律とは何をするのか、調律とは自分でできるのか、費用についてなどまとめたので、調律について疑問がある方はぜひ最後までご覧になってください。
調律とは「調律」「整調」「整音」の3つのことを言います。いわばピアノの健康診断です。専門の知識を持った調律師が、ピアノの状態を見て、不具合があれば手を加え、元の健康なピアノへと戻すという重要な作業であります。
ここでは主なピアノ2種「グランドピアノ」「アップライト」の調律がどのように行われるのかを説明していきましょう。
①ピアノの状態をチェック
調律師がピアノの音を鳴らしながら、耳で音を聞き、足でペダルの状態を見ます。
②外装を外し、清掃
ピアノの外装を外し、内部の清掃をします。普段なかなか中を開けて掃除をすることがないので、案外ホコリがたまっています。ピアノはデリケートな楽器なので、少しのホコリでも鍵盤の動きが鈍くなってしまうので注意が必要です。また、湿気に弱い楽器でもあるので、湿気によるカビもチェックします。
③鍵盤の調整
鍵盤には、2本の金具(バランスピン、フロントピン)が刺さっています。2本のピンを研磨することで、硬くなった鍵盤の穴(バラbスホール)の動きを滑らかにします。看板の調整によって、ピアノのタッチが変わるので自分のひきやすいように調整してもらうことがよい音で弾くことに繋がります。
④ベッティングスクリューの調整
グランドピアノの調整の、基本のひとつです。ピアノの土台である棚番と、鍵盤のアクションを乗せている筬の間の、隙間の調整です。中央にネジがあるので、それを回しながら余分な隙間をなくします。
⑤調整をする
鍵盤の押したときの、ハンマーの戻り具合や、スプリングの強さを確認します。
⑥調律をする
ピアノには、約230本のチューニングピンがあり、それら全てを演奏前に調整し、すべてが適切な音程になるようにします。調律がしっかりされていないと、演奏に影響を及ぼすこともあります。特に、コンサートなどでは演奏前にはしっかりと調律師が調律を行います。少しの音の狂でも、プロでは違和感をもつので演奏者がよい演奏を行うためには重要な作業となります。
⑦整音をする
ひとつの鍵盤には3本の弦が張られています。弦にハンマーが一定にあたるように、ハンマーを測ります。こうして音をチェックすることで、ピアノ独自の豊かな音色を出します。
⑧最終確認
ひととおりの確認や不具合の調整が住んだら、最後の全体のバランスを見ます。音色、ペダル、音量など問題がなければ完了です。
調律にかかる時間は、普段から調律をしているピアノで2~2時間半ほどです。
①ピアノの状態をチェック
ピアノの置いてある部屋の条件、使用頻度などを把握し、鍵盤の動きや音の響き、ペダルの状態を確認します。
②外装を外し、清掃
ピアノの外装と鍵盤を外し、ホコリなど取り除き、掃除をします。
③整調をする
ピアノのアクションとは、鍵盤を押すとハンマーが弦を打ち、音が鳴る一種の動きをアクションと呼びます。ペダルや鍵盤の高さを整え、このアクションの調整をします。ここでの作業はピアノの音色や非響きにもつながるため、重要な工程です。
④調整をする
ピッチを決めます。中央の「ラ」にしくは440~440㎐が基本とし、音叉(二股に分かれた金属製の道具)かチューナーを使います。音階作りをし、鍵盤ひとつに3本の弦があるの、3本とも同じ音程になるようにします。
⑤整音をする
ハンマーを削ったり、針を通したりすることで、不揃いな音色を整えます。
⑥最終確認
調律、整調、整音もチェエクが終われば、最後はバランスの確認です。外装を戻し、仕上がりを確認、問題がなければ終了です。
調律にかかる時間は、普段から調律をしているピアノで1時間半~2時間ほどです。
調律の一連の流れについて説明しましたが、すべてがピアノにとって大切な作業です。人間の体と同じで、ピアノも早い段階で問題が見つかれば修理も早く済みます。
しかし調律をせず、気づいたときには大きな問題が発覚、というときはそれだけ修理も大がかりとなります。
では調律はどれくらいのペースでおこなうのがよいのでしょうか。また音が狂う原因にすいても説明します。
①ピアノへの負担
ピアノは約8000個のパーツで作られています。多くが天然素材で、ほとんど木でできていることがわかります。そのほか、金属やフェルトも使われています。
自然素材だからこそ少しの温度湿度で変化し、音へ影響されます。またピアノの弦には1本に70~90㎏の張力、全体で20tという重さがかかっています。そのため弦が伸びてしまうこともあるので細かなチェックが重要となります。
②弦が新しい
ピアノを買ったばかり、弦を張り替えたばかりだと弦が安定しません。一定の長さまで伸びるため、落ち着くのに2~3年かかるといわれています。その間は、チューニングをしてもすぐに音が下がるため通常より、こまめな調律が必要となります。
③弾く頻度
鍵盤を押さえるとハンマーが弦を打ちます。そのため、ピアノを弾く頻度が高ければ、それだけハンマーを打つ回数が多くなり、弦も伸びやすくなります。
④環境の変化で不安定に
引越しや、ピアノの置き場所も移動による環境の変化です。ピアノは天然素材がほとんどなため、わずかな温度や湿度の変化で弦に影響が出ます新しい環境になじむまで落ち着くのを待つ必要があるでしょう。
⑤空調管理
ピアノは一定の温度と湿度で保たれることが一番よい条件です。とくにピアノの不調で多いのが、湿気が原因で各パーツの動きが鈍くなることです。また、乾燥しすぎも木が痩せ、パーツが緩くなってしまうので空調管理が重要となります。エアコンの風が直接あたる、直射日光があたる、ストーブが近いなどには気をつけてください。
ピアノは使用していても、しばらく使用していなくても、どちらにしても音色や変化が現れる楽器です。調律をしないで放置をしていると、音程が狂うことはもちろん、ピアノの寿命も短くなります。調律は、不具合がみつかり気になってからおこなうものではありません。継続的に、定期的なメンテナンスが大切でしょう。
一般的な家庭でのピアノは1年に1度が調律の目安となります。ただ、新しいピアノでは、パーツがなじんでないため、調律をしても1~2か月で音程が狂うことがあるので購入して5年以内は半年に1度の調律がよいでしょう。
5年以上になると、パーツなじむので1年に1度でもよくなりますが、20年以上のものになると今度は劣化が現れてきます。弦のサビ、フェルトの痛みなどの症状が出てくるので、年数が高すぎると音程が狂いやすくなります。そのため、使用年数が増えるとともにピアノも調律の必要性も高まります。
調律をしていればもう安心というわけではなく、長く大切に使っていくには調律を安定させることも考えてください。
ピアノを置く部屋には湿度計を常に用意して、湿度を一定に保ちましょう。エアコンを使用している方も多いですが、同じ湿度設定でも夏と冬では湿度は変わるため、正確な湿度を知るには湿度計が必要です。
基準は温度20℃、湿度50%です。普段は除湿機能でも、11月半ばから3月半ばでは、乾燥しやすいため加湿が必要になります。春や秋は、窓を開けて換気をするのもよいでしょう。
ピアノは定期的な調律が必要なことがわかりましたが、自分でもできるのでしょうか?
自分で調律をするために、電子チューナーのアプリがあります。プロの調律師でも、電子チューアーを使うことがあるので、そのアプリが簡単に手に入ると自分でも調律がしやすくなります。
使用方法は、鍵盤1本ずつチューナーで音合わせをします。チューナーの表示通りに合わせるだけです。もうひとつ用意するのが、チューニングハンマーです。鍵盤で音を出しながらチューニングピンを回して、調音します。
ピアノ歴が長い方だと、このようなアプリやハンマーを使い、自分で調律をする方もいます。しかし、ピアノは鍵盤が88個もあり、ひとつひとつ順番にチェックするのは大変な作業です。また調律師の資格を持っていて知識があっても、経験がとても重要とされる職業です。
ハンマーの動かし方でも、わずかな差で違いが出ます。素人では調律をしてもまたすぐに狂いやすいので、調律をするならプロの方にお任せすることをおすすめします。
プロの調律師に依頼するのに気になるのが費用です。細かな作業と豊富な知識が必要とする専門職なので、それなりに費用はかかります。
まずアップライトピアノよりグランドピアノの方が、少し料金が高くなります。また料金が変わってくるのは、「前回の調律がいつ行われたか」です。定期的にしている場合より、何年もしていなかったときの方が料金は高くなります。
そのほか、出張費や消耗品パーツの交換費用も必要となることがあります。費用については、一度見積りを出してもらうとよいでしょう。
ピアノの調律についてお伝えしましたが、いかがでしたか?まず調律とは何をしてくれるのかわかりました。ピアノはメンテナンスをしないと、音が下がっていき、音が狂っていきます。そのまま弾いていても、きれいな音が出なく上達もしません。ピアノにとって調律は不具合を見つける大切なことです。
ピアノを長く大切にしていくためにも、最低でも年に1度はプロの方へ調律をお願いすることをおすすめします。しっかりピアノを調律し、これからも美しい音色を奏でましょう。美しい音色は、きっとピアノ上達の鍵となるでしょう。